2007年05月17日

レプチン生兵法

文明が進むにつれ、医学は単なる病気の治療・予防から、健康な人の精神や生活の質を充実させることへとシフトしつつあります。
美容向上法、老化防止、肥満解消などの研究は進展著しく、かつて不可能と信じられたことが、ひとつまたひとつと成し遂げられています。常に最新の情報をチェックしないと、世の流れから取り残されかねません。
その一方で、ぽっと出の説に飛びつくと失敗するおそれも高いのです。

『老化と寿命のしくみ』(米井嘉一/日本実業出版社/2003年)を読んでいたら、レプチンという言葉が出てきました。
レプチン? ずっと前聞いたことあるような気がするけど・・・すでに忘却。
脳年齢への懸念はさておき、レプチンは肥満を語る際にしばしば登場するキーワードですね。

レプチンは脂肪代謝システムをつかさどるホルモンです。ものを食べて満腹すると、脂肪組織からレプチンが分泌されます。それが脳に到達すると食欲が低下し、摂食行動を抑制するのです。また、エネルギー代謝を高め、脂肪燃焼を促します。

そんなことから、レプチンは夢の痩せ薬として脚光を浴びたのでした(たぶん)。
今でも「レプチン投与でダイエット」などと記したページが見受けられます。

しかし物事はそう生易しくないのだと、その後の研究は告げています。

レプチン自体は有益で重要なホルモンだけど、害をなすことのほうが多いらしい。飽食の時代を反映して、ヒトの体はレプチンを上手に働かせる能力が機能しづらく、『レプチン抵抗性』が起こりやすくなったのです。
肥満者の血中レプチン濃度はすでにかなり高めです。レプチンがいくら増えても、やせることにはつながらないというわけです。
高濃度のレプチンは血糖値のバランスを乱し、糖尿病を誘発することもあります。
レプチンは加齢に伴って増えてきます。老化の要因でもあるようです。

生半可な知識は不健康のもとなのですねえ。

ところで、フライパンの初期化のため、十数年ぶりにサラダオイルを買いました。
食用油には「リノール酸」という不飽和脂肪酸が大量に含まれています。
ひところもてはやされていたリノール酸。コレステロール値を下げるといわれましたよね。リノール酸という言葉自体がウリであり、「健康」を象徴していたのです。

だのに、今ではサラダ油に貼られたラベルのどこにもリノール酸という文字は見当たりません。表向きすっかり影を潜めてしまいました。
リノール酸は老化を促進する悪玉物質だと槍玉に挙げられるようになったからです。

成分が変わったわけではないのです。キャノーラ油、サフラワー油、大豆油、コーン油、ごま油・・・多くの食用油でリノール酸含有率が50%前後です。
人間にとって必須脂肪酸であるリノール酸は外部からの供給が不可欠であることもまた事実です。要は大量摂取がヤバいんですね。

同一物質への評価が短期間に180度転回することも、相反する両極端な説が併在することも、健康業界では珍しくない。でもちょっとコワイような気がしませんか?

情報の中身が変化するのは、むろん研究の成果です。今後も続々と新たな事実が判明するでしょう。
私たちにはそれを吟味する義務があるのです。
投稿 ルノ at 14:26 | コメント(0) | TB(0) | ダイエット論
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