食物を煮炊きするのは好みの問題と書いたことがありますが、現実にはそう割り切れるものではないようです。
ひところよく読んだ老化防止関連本にも「なるべく生に近い状態で食べる」という項目がありました。読んだ当時は気分に合わないと無視していたのですが、最近アクリルアミドという言葉を目にしたもので、いやおうなしに思い出したのです。
アクリルアミドとは、炭水化物を多く含む食品を高温で加熱調理したときに化学反応で合成される有毒物質です。発ガン作用を持つとか。
生の状態ではアクリルアミドはほとんど含まれず、煮たり茹でたりする料理法ではあまり発生しません。揚げたりオーブンで焼いたりグリルにするのが危ないようです。
焦げた肉や魚は危険だという考えはすでに広まっています。過剰加熱により蛋白質が変成して発癌物質に変わるのです。
その点炭水化物は加熱しても大丈夫、みたいに思われてきました。アクリルアミドの存在によりそれも危うくなったわけです。
アクリルアミド自体は以前から存在しました。加熱によって食品中に生成されると発表されたのは5年も前のこと。
健康情報には多少のアンテナをめぐらせているつもりの私がそれを知らなかったのはなぜ?
どうも世間で騒がれていないから、みたいです。アクリルアミドという単語を目にしたことはあったけど、なんとなく見過ごしていたのでしょう。
人々の関心も希薄です。ピーナッツやハムの発がん性がどうのこうのと言う人でも、「アクリルアミド? 何それ、網戸の材料?」くらいの反応でしょう。
普通に食事をしていたら、アクリルアミドの摂取は避けられないのも事実です。
完全に排除するには、なんでも生で食べるってことになり、食生活のクォリティがかなり落ちます。火の利用は人間のあかし。原始人だって煮炊きしてたじゃないか。
避けられないとはいえ、体に悪いものを積極的に摂るのは愚かなこと。
癌なんて他人事とのんびり構えてる若いあなた、軽んじると後悔しますぞ。癌を引き起こすような毒物が美容と健康全般によろしいはずがないでしょ。
そもそもアクリルアミドをたくさん摂取するような食生活は概して肥満や便秘、肌荒れを呼び起こすものです。
さて、国立医薬品食品衛生研究所の調査において、アクリルアミドの含有量がとりわけ高いと指摘されたのがポテトチップスです。
ポテトチップス有害説はかねてより幾たびも浮上してきました。
やれ塩分が多い、やれ脂肪の摂りすぎだ、はては依存性があるとまで。うーん、確かに食べだすとやめられない魔力のようなものが若者を惹きつけるらしい。幸いにして私自身は長年口にしたことがありません。
ポテトチップの塩分は思ったより低いのが事実です。100グラム中ナトリウムは400ミリグラム。せんべいやあられはもちろん、なんとウエハースやクリームパンよりも少ないのです。
とはいえナトリウムの希望的制限量は日に3900ミリグラムだから、控えるにこしたことはないでしょう。
ポテトチップスの大きな問題点は脂質です。全体の1/3を占めます。
あんな薄切りにしたポテトを油で揚げるのだから、細胞の隅々にまで油が浸透してしまうのは理の当然。ポテトチップスを食べることは、じゃがいもを食べるのではなく油を飲んでいるのと同じだ。とは大げさですか。
おまけにアクリルアミドつき。
しかし何度も叩かれながら、ポテトチップスははびこり続けます。味を変え、形を変え、ビタミンを添加し、相変わらずスナック界のドンとして君臨しています。この世から抹殺しようと叫ぶ人はいませんね。
アクリルアミドの危険性がちっとも話題にならず、真面目に取りざたす人が少ないのは、ひょっとしてポテトチップスメーカーが圧力をかけているせいではないかしら。とまでうたぐってしまいます。
フライドポテトも高アクリルアミドですが、ポテトチップスほどではありません。見かけも栄養分もじゃがいもらしさを残しているし、食品としてはずっとましです。ただし両者は代替可能とはいきませんね。
ギトギトの手触り、パリパリの歯応えがポテトチップの魅力だという人は多いでしょう。
どうしてもポテトチップスをやめられないかたは、せめて食べ方に工夫して量を減らす努力をしてみませんか。
上品でかわいいお皿を用意します。そこに数枚のポテトチップスをのせます。フォークで1枚ずつ食べます。食べ終えたらちょっと我慢して、物足りなければさらに何枚か追加します。
以上。
食べにくいけど手が汚れないから、携帯やリモコンやキーボードなどをベタベタにするおそれもなく、一石二鳥。ゆっくり食べることで満腹感も来て、多少は量を抑えることができるでしょう。
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